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「 じゃあ、斗真、お願いしてもいい?」
と言ったとき、入口のカウベルが鳴った。
「 わあ! 静流さん!
いらっしゃい。
すっごいタイミング。
ちょうど静流さんの話をしてたんだよ~。」
カウンターに座っていた真理子は薫の声に反応して入口の扉に顔を向けた。
そこにはロングの黒髪を後ろで束ねた長身の美しい女性が居た。
ダークなパンツスーツに白のブラウスが映える。
立ち姿が異様に美しい。
ただ者ではない…。
「 何かしら。素敵な話題だと良いのだけど。」
「 今日はこっちに座って」と薫が真理子がいる、カウンター席に静流を案内した。
「 静流さん。
騒々しくてすみません。
今日は何にいたしますか?」
斗真が応対する。
「 いえ、大丈夫ですよ。
今日はサーモンクリームのピッツァとベルガモットリキュールで何か飲み物をお願いします。」
「 かしこまりました。」
厨房に立った薫にオーダーを通して、斗真はドリンクを作りながら真理子を静流に紹介してくれた。
なんだろう。
本当にただ者ではないオーラなんだけど、それは決して不快という意味ではなく、魅力的なものである。
居ずまいもまた美しい。
年齢はおそらく同世代。
「 これは店からのサービスにさせて頂きます。」
カウンターに柑橘系の爽やかな香りがする炭酸の飲み物が二つ用意された。
「 まあ素敵。ありがとうございます。
では、真理子さんとはじめましての乾杯をさせて頂きますね。」
と上品な微笑みを浮かべグラスを軽く持ち上げた。
真理子もそれに応えた。
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