1

4/4
前へ
/15ページ
次へ
「やっぱ結衣夏だ、久しぶり!」 「奈緒!」  彼女の名前を呼びながら私は通りを渡る。  奈緒へ近づくと彼女は私の手を取りながらはしゃいでくれた。 「いつ以来? 結衣夏、成人式も帰ってこなかったんじゃない?」 「そうだねー、そのときも会えてないから……高校んときにカラオケでばったり会ったとき以来?」 「いつだ、それー」  私たちはもう二十代の真ん中に差し掛かっているというのに、コンビニ前で十代に戻ったかのようにはしゃいでしまった。 「あー、ねぇ、聞きたいことあるんだけどさ」 「なにぃ? 変な勧誘とかじゃないよね」  奈緒はパッと私の手を離した。友達にそんな誘いをされたことがあるのかもしれない。 「違う違う」  私は胸の前で両手を横に振って否定する。 「うん、じゃなに?」 「引かれそうな気がする質問なんだけど」 「もったいぶるなぁ、なに?」 「あのさ」 「うん」 「私の家って……どこにあったかわかる?」 「はいぃ?」  左の眉を引き上げて、奈緒のキレイな顔が歪んだ。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加