17人が本棚に入れています
本棚に追加
「やっぱ結衣夏だ、久しぶり!」
「奈緒!」
彼女の名前を呼びながら私は通りを渡る。
奈緒へ近づくと彼女は私の手を取りながらはしゃいでくれた。
「いつ以来? 結衣夏、成人式も帰ってこなかったんじゃない?」
「そうだねー、そのときも会えてないから……高校んときにカラオケでばったり会ったとき以来?」
「いつだ、それー」
私たちはもう二十代の真ん中に差し掛かっているというのに、コンビニ前で十代に戻ったかのようにはしゃいでしまった。
「あー、ねぇ、聞きたいことあるんだけどさ」
「なにぃ? 変な勧誘とかじゃないよね」
奈緒はパッと私の手を離した。友達にそんな誘いをされたことがあるのかもしれない。
「違う違う」
私は胸の前で両手を横に振って否定する。
「うん、じゃなに?」
「引かれそうな気がする質問なんだけど」
「もったいぶるなぁ、なに?」
「あのさ」
「うん」
「私の家って……どこにあったかわかる?」
「はいぃ?」
左の眉を引き上げて、奈緒のキレイな顔が歪んだ。
最初のコメントを投稿しよう!