錆びた看板の扉

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錆びた看板の扉

 色褪せたメリーゴーランドに、錆びついた観覧車。遊園地の廃墟だ。どの遊具も動かない。  園内を回っていると、くすんだ風景の中に鮮やかな緑を見つけた。ジューススタンドに輝く瓶が置いてある。警戒心より興味が勝った。宇宙船から降りて、瓶の中身を口にする。 「■■■■■はここで待ってるね」 またあの声だ。同時に「小瓶」という単語が思い浮かぶ。次の瞬間、私の身体は目の前の瓶ほどに縮んでいた。  ジューススタンドの下に小さな扉がある。他に行けそうな場所もないので、そこに入ってみる。薄暗い一本道だ。生ぬるい風と、何かの這う音が身体を舐める。  嫌悪感をこらえてたどり着いたのは、最初の扉の部屋だった。どう繋がっていたんだろう?
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