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白黒の扉
身体が元に戻ってから最後の扉を開けた。一面が白と黒の世界。地面のあちこちに人の頭くらいの瘤がある。触ったら、瘤はバチン! と音を立て、黒い液体を流しながら割れた。
しばらく探索していると、異質なものを見つけた。汚れたパジャマの山の中に佇む洗濯機。宇宙船から降りて触れてみる。「洗濯機」という言葉が頭に浮かんで、声が聞こえた。
「迷惑かけてごめんね」
それを聞いていたたまれなくなった。
「そんなことない」
思わず口に出した。すべて洗い流そう。洗濯機にパジャマを全部放り込み、ボタンを押した。水はどんどん黒に染まる。蓋を閉めようと手を伸ばしたとき、誰かに背中を強く押された。
私は洗濯機の暗い渦に吸い込まれていく。
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