610人が本棚に入れています
本棚に追加
「可愛いね〜、何、OKするの。」
告白の一連を見ていたらしいサークル仲間の美穂が聞いてきた
「いや、それはない
こっちが年上で
最低でも4歳は離れてるわけでしょ
恋愛対象としてはナイわ」
「年下、可愛いじゃん、イケメンだし、
付き合っちゃえば?
就活もおわったし、あの遠距離の彼、先輩?
自然消滅とか言ってたじゃない」
沙夜には、サークルの先輩で
1学年上の林田竜一という彼氏がいた
竜一が卒業するまでの2年間付き合ってきたが、去年実家のある仙台に戻って地元企業に就職したため、沙夜とは遠距離恋愛になっていた
「地元就職した時点で、もう終わってんだよね」
そう理解した沙夜は、それでも、遠距離が始まった直後は比較的マメにメッセージアプリで連絡をとっていた
しかし徐々に送信する回数が少なくなり、相手からも既読にはなるものの、返信が来なかったりするうちに半年が経とうとしていた
「(地元で彼女でもできたのかな?)」
沙夜は自分から連絡を取るのを止めた
不思議と悲しみはなかった
沙夜は恋愛に関しては少し冷めているところがあり、自分が熱を上げ告白した後、逆に相手が沙夜に夢中になる頃にはピークが過ぎていることがよくあった
特に理想が高いと言うわけでもないが、沙夜の両親は、お世辞にも仲が良いとは言えない夫婦であり、そんな二人の日常を見ていると、結婚に対しての夢も持てなくなっていた
「(一生独身ってのも、今どきはアリだよね)」
そんな風に考えたりもした
最初のコメントを投稿しよう!