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「何故って、お姉さん、あ、名前まだです」
「そうだったね、私は山之内 沙夜」
「沙夜さん…で良いですか?」
「うん、山之内さんじゃ固すぎるもんね」
沙夜がクスッと笑うと、彗は間髪入れずに
「沙夜さんが、可愛いし俺のタイプだったから」
「へ、へぇ…」
沙夜は
「(なんか初々しいな〜背中がムズ痒い)」
と思ったが、ストレートな表現に内心まんざらでもなかった
「年上とかそーいうの、俺気にしないんで」
「(私の方が気になるんですけど〜)」
「最初お友達でも良いんで」
たたみかけるように彗が言うと
「三浦くん?」
「彗、で良いですよ」
「うん、じゃあ、彗くん」
「はい」
「君、高校何年生?受験とかあるのでは?」
「今、高3です、進学しますけど、もう推薦が決まってるんで」
「あ、ほんと…」
学生の本分は勉強…と
もっともらしい理由を挙げて
やんわり断ろうとしていた沙夜は苦笑いだ
「(まぁ顔だけなら、この子私のタイプなんだけどね)」
彗が自転車から立ち上がると、沙夜は見下ろされる格好になり、
「背、高いんだね」
沙夜は駅まで歩く20分間、
図らずも彗を質問攻めにしていた
「ようやく180が見えて来ました
うち、兄弟も割とみんなデカくて」
その質問の一つ一つに、
イマドキの男の子にしては…
で、丁寧に答えてくれる
「(校内でナンパなんかしてくるから、
どうかと思ってたけど、話してみると受け答えもしっかりしてて頭良いみたいだし、
案外素直な子なんだわ)」
沙夜の心象が少し変わった
結局、そのままターミナル駅で一緒に降ると、
手近なカフェでお茶することになった
そして沙夜のバイトの時間になるまで
話をした上、メッセージアプリのアドレスを
交換したのだった
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