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チャンスの神様〜side 彗
2階の奥の踊り場は、
人気が少なく
外の景色が見えて授業の合間
息抜きの場にしていた
早瀬と一緒の時もあったが、あいつも無駄口は叩かないタイプで、熱心にちょこちょこスマホのアプリゲームを進めたりしている
彼女が前からあの通路を使っている事は
気がついていた
隣接の附属大学への近道であり、そう多くはないものの、利用している学生がいる
とはいえ、女子でそこを使うのは珍しい
沙夜はいつも1人、早足で歩いていくが、
その姿は女子大生らしく
トレンドの服装を着こなし、
イヤミにならない程度にブランド物を持った
美人、瞬間的にそんな印象が俺の中に残った
読モやってます、と言われたら
実際に雑誌など見なくても
納得してしてしまいそうだ
「あんな年上の彼女がいたら」
と想像するのも楽しかった
その日も休み時間に早瀬と時間つぷしをしていると高等部の裏門から入ってきたらしい彼女の姿が目に入った
いつもなら目で追うだけでスルーだが、
前の授業、小テストでたまたま予習してたところがバッチリ出て、居残りの可能性…と言っても、その対象になるような失態を犯す事は
ほぼ皆無ではあるのだが
「今日は、流れが俺に来ている…!」
俺は咄嗟に彼女に声をかけた
無視されるかと思ったが、彼女は俺たちの方を確認するべく目線を上げると、ちょっと怪訝そうな顔をした後、すぐにいたずらっぽく笑って手を振ってくれた
彼女が去った後、早瀬が
「めっちゃかわいいやん」
と言い、俺も
「ヤバッ、可愛い」
彼女が手を振ってくれたことによって気を良くした俺は、次にチャンスが巡ってきたらダメ元で告ってみるか、などと考えだしていた
油断すると、口元がニヤけそうになるのを必死で抑えながら、俺らは教室に戻った
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