こ.い.び.と 〜side 彗

2/3

569人が本棚に入れています
本棚に追加
/145ページ
銀座の料亭の場所は知っていたので、 アルバイトが終わる頃を見計らって 待ってみることにした 従業員が出入りしていると思われる勝手口のあたりに着いたので、少し離れた通り沿いで沙夜が出てくるのを待つ ほどなくして、沙夜らが何人かで出てきた 沙夜は俺に気づくと、皆に挨拶しこちらにやってきた 「…どした?」 と聞かれ、気取ってもしょーがないので 「顔を見たかった」 と素直に答える 沙夜の反応は、とりあえず最悪のパターンではなかったので良しとする 駅に向かって歩き出すタイミングで、なんか自然と手を差し出してしまい、 スルーされるかと思いきや、手を繋いでくれたので、俺は密かにテンションMAX! 「(手、小さいな)」 そんな事を考えながら、次のステージを目指す 沙夜の降りる駅は終着なので、 もう他の客はそれほど乗っていない 手は先ほどからずっと握ったままだ 「(これは、いけるのでは?)」 はやる心を抑え、俺は沙夜の頬にキスをした いきなり頬以外の場所にするのは、 いくらなんでもハードルが高すぎる それでもかなり頑張った、オレ! するとあろうことか今度は沙夜の方からキスしてきた!それもちょっと大人なヤツ! 「(いや、マズイっしょ!これヤバいっしょ)」 一瞬気が動転したが、かろうじて 「好き」 と伝えられた 潤んだ瞳の沙夜に 「私も」 と言われた日にゃ、狂喜乱舞…! マジか〜夢か〜? いや、夢じゃない…! 俺は有頂天だった
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

569人が本棚に入れています
本棚に追加