乙子月(クリスマス)

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クリスマス当日(正確には24日のクリスマスイブだが)、 沙夜は、白のハイゲージニットに茶系でチェックのチュールスカート合わせ、パールのついた黒のロングコートを着た 派手すぎず、地味すぎず、あれこれ迷ったが、結局このコーデにした メイクもケバくならないよう気をつけ、ブラウン系のシャドウに、ピンクのリップを塗る 手土産には、 (彗は気にしなくて良いと言ったが) 運良くクリスマスアソートのシガール缶が買えたので、(油断していると完売になってしまう) それを持って行くことにした なんだかんだで支度に時間がかかってしまい、待ち合わせの時間に少し遅れてしまった 駅に着くと改札口に彗の姿が見える 沙夜が 「ごめんね、支度に時間がかかって遅れちゃった」 と言うと 彗は全身を目で追うと 「大丈夫、すごく綺麗」 と、言いながら沙夜の手を握った 「(彗に綺麗とか言われると、なんかほわほわしちゃうわ)」 彗の家は、駅から歩いて10分ほど行ったところの閑静な住宅街にある一戸建てだった 低層住宅地域とのことで、目立って高い建物はなく、お屋敷風の家も多い 彗の家もその中で負けず劣らず大きな家だった 「素敵なおうちだね」 沙夜が言うと 「35年ローンじゃね?」 と、彗が笑った 彗が、玄関を開け 「ただいま、沙夜連れてきた」 と言うと 「いらっしゃいませ」 「こんばんは、山之内と申します」 「はじめまして、彗の母です」 と言いながら、これまた広い玄関の奥から上品な雰囲気の美人が出てきて挨拶をした
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