半夏生

1/3

568人が本棚に入れています
本棚に追加
/145ページ

半夏生

沙夜は、大学時代ミスキャンパスに 選ばれたこともあり、 二重の大きな目が印象的で やや茶色がちなセミロングのボブ 笑うと芸能人の○○に似てるとか 兎角、入行した当時から目立つ社員だった 体型も、全体にはスリムだが 出るところは出ていて、制服にあっても 溢れ出す色香は、同期の間でも有名で あわよくば我がモノに、と 意欲を見せ近づいてくる者も多かったが 沙夜に軽くあしらわれていた 「それで?」 「うーん、なんもない」 一気にヒマになった金曜日 「別れたら次の人、とか無いわけ?」  大学時代からの友人、沙夜が唯一 信頼していると言ってもいい典子 宮原典子は、大手食品メーカーに就職し、 最近になって念願の商品開発部門に 異動になったと聞く 何事にも積極的で、 「面倒な事柄から先に片付けていく」 を、モットーとしている典子に 課長との事を話した時も 「不倫は非効率」 と、にべもなく、とっとと止めるよう 機会あるごとに言われ続けていた このところのバタバタもあり、彼女とは しばらく会えてなかったが、 今日久しぶりにお互いの仕事終わり 神田で待ち合わせて飲む事になった 「まあ、奥さんに訴えられなかったのは ラッキーだと思わなきゃね」 「だね」 神田の飲食店と言えば、 カレーかラーメン激戦区 新橋よりは少しラフな感じの サラリーマンの街
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

568人が本棚に入れています
本棚に追加