長幼の序 〜side彗

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長幼の序 〜side彗

沙夜と別れ、どこにも行く気になれずに、 家に帰った ただいまも言わずに、玄関を開け 自分の部屋行こうとすると 「彗なの?ずいぶん早いのね、もっと遅くなるかと思ったのに」 とキッチンから母の声が聞こえてきた 俺が 「夕飯は要らない」 と言うと 「あら、さっき遼が帰ってきたのよ、出前でお寿司頼んだから、食べられそうなら下りて来なさいよ」 「遼」は海外赴任中の長男で、6月に結婚することが決まっている 式はいわゆる海外ウェディングで、こじんまりと身内だけでするのだが、披露宴は日本でレストランを貸し切ってやるそうで、今回の一時帰国でその準備をしていくらしい 元CAの婚約者は、美人で少し近寄りがたい雰囲気があるのだが、話してみると、これが天然のところがあり、きっとそのギャップが気に入ったのだろうと勝手に想像する 「何せ、うちの兄弟(ヤツら)は皆、 女子の見せるギャップに弱いから」 彗は自虐的につぶやいた 「年長者の意見をちょっと聞いてみるかな」 彗は末っ子で、遼とは少し歳が離れていることもあり、あまり一緒に遊んだ記憶は無いのだが、 何か相談すれば、いつも的確なアドバイスをくれるので、信頼していた
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