半夏生

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相手の家庭を壊してまで 本気で彼と結婚したいとか そんな風に考えてなかったな 「相性イマイチだったのかね、カレシ」 「典子が言いたいことはわかるけどね… 別に下手じゃなかったよ」 「あら、わかっちゃった?」 彼は年上らしく、ベッドの中ではいつも リードしてくれたし、キスも上手かった、 と、思う 「そんな比べられるほど、こちらも経験あるわけじゃないけど」 「いや〜、沙夜は学生の頃からモテてたし、同期の、いや、同期に限らないけど男どもがほっとかないでしょう」 そういう典子だって、美形ゆえの嫉妬からか 学バス乗り場にいつも違う男といる などと噂され、 「普通に友達といるだけなんだけどね〜」 と、根がポジティブなのか、一向に気にする風はなかったが、それ故に面倒なのがイヤなのか 付き合う相手は決まって他大学だったり 社会人だったりした しかし、男が切れたことはない 背がスラリと高く、アジアンビューティ系の顔立ちの典子と二人でいると、周りからの視線を感じる事がしばしばあった 今は、ITの会社に勤めている鉄道オタと 付き合ってるのだそうだ 「オタは良いよぉ、好きなことやらせてあげればそれ以外にお金使わないし、浮気しないし」 「いや、浮気云々のくだりはわからんでしょ」 沙夜のツッコミはスルーして、典子は続けた 「あと商社マンとは一度付き合ってみると面白いとか言うよね、合コンの仕切りは完璧だとか」 「沙夜も、合コン、どうよ」 典子の問いに 「合コンですかぁ…今はいいかな」 「出会いが欲しければいつでも言って」 「典子、お見合い(ババ)みたくなってるよ…」
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