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小ぶりではあるが、薔薇を愛でつつ
「(この季節でも薔薇、あるんだな)」
メインの公園に向かって歩き出す
園内では、テニスなどのスポーツから
バーベキューまで様々楽しむことができる
施設があり、今は、夏休み中ともあって、
朝から子供たちの声が響いている
ちょうど野球の試合が始まったところのようだ
沙夜は涼しいうちにと思い、
早めに家を出てきたが
歩いているうちに、徐々に暑さがこたえてきた
「とりあえず水は持ってきたから…」
そうつぶやくと、公園の手近なベンチに腰を下ろし、凍らせておいたペットボトルの水が、少し溶け始めたところをゴクリと飲んだ
「(本当に緑が多いわ)」
昨日の典子との飲み会で、新居が緑に囲まれていることを話したら
「ストレスの多い人は緑色を好む傾向にあるんだってね」
と、クスリ笑いをされたが
あと、少し散策したら
どこかカフェでランチにしよう
コーヒーの美味しいお店ないかな
そう思ってベンチから立ち上がろうとしたその時
誰かが沙夜の隣にドカリと座った
そして
「お姉さん、今、付き合ってる人とかいます?」
あれ?わたし?
なんか、デジャヴ…
沙夜がおもむろに顔を上げ、
隣に座った人物を見ると、
そこには懐かしい顔があった
精悍で整った、イケメン、少し日焼けした肌
初めて会った頃よりも、
かっこよさに磨きがかかり、
大人びた表情になった男
「彗…くん…?」
彼は私を見つめてニヤリと笑った
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