フェンスを越えて(過去ログ)

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フェンスを越えて(過去ログ)

「お姉さん、今、付き合ってる人とかいます?」 ふいに隣に誰かが座り、沙夜に話しかけてきた それは彼女が通っている大学に附属している 男子高の生徒だった 大学キャンパスと高等部は、網目のフェンスを境に分かれていたが、高等部の学食は、大学側から自由に入ることが出来た メニューこそ多くないが 大学の学食よりもうどんが50円安い! 味も悪くないので、 お小遣いをもらっていなかった沙夜は バイト代が入るまであと何日、 と言った時に 少しでも昼代を浮かせるべく そこを利用していた 沙夜が振り向くと、 爽やかなイケメン、少し切れ長な目 鼻筋が通り、どこぞのアイドルっぽい マッシュヘアの前髪だけ少し短めで トレンドにも気を使ってる感じ 最近は「イケメン」の裾野が広がりすぎて 「あの人カッコいいよね〜」 などと周りが言うのみて 「(そぉかあ?)」 と思うことがしばしばある沙夜だが 今回は 「(顔偏差値70、な〜んて…     でもマジでタイプかも)」 と思い、彼の顔をまじまじと見た 「君、どこかで会ったことあったっけ」 と聞くと 「少し前に校舎の2階から声をかけました」 「あー…そういえばそんな事が…」 学園祭も終わり、 浮き足だっていた校内が静けさを取り戻した頃 あの日は二限の授業に間に合うかビミョーで 沙夜は焦っていた 少しめんどくさい教授なので、 出席日数だけは押さえておきたい バス停から小走り こういう時は少しでも近道、付属の高等部の裏門からキャンパスに入るルート 境界線の金網はあちこち綻んでいて もはやその役目を果たしていない タイトな黒のロングスカート腰の辺りを 指でつまんで少したくし上げ、 境界にあるコンクリートのブロックを跨いで 大学側の敷地に足を下そうとしたその時 上方から声が聞こえた 「お姉さん!こっち向いて!」 チラリと声の方向を見れば 学ラン姿の男子生徒二人組が こちらに向かって手を振っていた いつもなら無視するところだが、 快晴の今日はちょっとテンション高め 手を振り返してあげる すると二人のコソコソ声が 「結構可愛い…」 とかなんとか ん?品定め? 「(君たち聞こえてるけど、評価いらないから!)」  
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