第零回路

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第零回路

「それでは皆さん、この説明書通りに組立てていきましょう」 はーい、と子どもたちの楽しそうな声が学校を賑やかにした。 小学一年生の子どもたちが学んでいること、それはロボット作りだった。 「私ね、この子絶対に成功させてママの手伝いをさせるの。ママがらくできるように」 「そんな事できないよ、花岡。このロボットは学校に寄付するんだからな?」 「わかってるよぉ……将来の話じゃん。」 誰もが当たり前のように使っているはんだごて。 飛び散る赤い火の粉。 「先生!火傷しました……」 「原田くん、大丈夫!?すぐ治すからね」 先生が取り出した軟膏は塗っていれば火傷が治っていく便利モノ。 下手すれば小学一年生の生徒よりも大きいロボットがどんどん完成している。 骨組みまでできた。 「みんな、最後の仕上げは誰がやりたい?」 先生は原田くんに軟膏を塗り終わると、生徒の方を向いた。 誰も手を挙げない。 みんな知ってるんだ、これに手を挙げないほうがいいと。 だって最後の仕上げって…。 「誰もやらないのね?ならくじ引きで決めます」 先生の声は生徒たちみんなを震え上がらせた。 と、しんとした中から一人だけ手を上げた。 「っ……いいの?」 「うん…」 落ち着いた声は花岡と呼ばれた女の子のものだった。 「ただね、お願いがあるの」 「なあに?」 生徒たちは仕上げをやる子が出てきてくれて少し安心しているよう。 空気が穏やかになった。 「このロボットを学校に寄付するんじゃなくてママの手伝いロボットにさせてあげて!」 ピシッ、と先生の笑顔が凍りついた。 そんなことできるはずない、なんていえない。 でもいいのだ。どうせバレない。 「分かったわ、花岡さん」 花岡は満面の笑みで「ありがとうっ!」と言った。
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