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残り5分
そしてとうとうオレ様ともう1人の出場者だけになったというメッセージが携帯に届いた。残り時間は5分となっていた。
「ほほぅ。もう1人いるのか。やるじゃねえか。けど最後まで残るのはオレ様だ。」
そう呟きながらふと前方に目をやると一人の中年のオッサンが向かいの建物の陰に身を潜めながらコッチを見ていた。どうやらコイツがもう一人の生き残りのようだ。
オレと目が合ったことがよほど嬉しかったのかそのオッサンはあろう事か初デートで待ち合わせをした恋人にでも会ったくらいの勢いでピョンピョン飛び跳ねながら嬉しそうに頭の上で両手を大きく振っている。
「はぁ?あいつはアホなのか?そんな事したらハンターに気づかれるだろうがっ!」
オレは口パクで「止めろ!」と言いながら両手で小さくバツ印を作ってみせた。しかしオッサンは手を振るのを止めない。
「くっそっ!!」
オッサンが見つかればオレ様にだって危険が生じる。あと3分見つからなければミッションクリアだというのに。
オレは納得はいかなかったがオッサンに直接クレームを言いに行く事にした。
近くにハンターの姿がない事を確認し素早くオッサンが居る場所へと移動する。
「おい、オッサン!何してやがるっ!そんな目立つ行動すればハンターに見つかっちまうじゃねえかっ!あと3分でミッションクリアなんだぞっ!」
そんな怒りをぶつけるオレに対しオッサンはキャピキャピしながら言った。
「だぁってぇぇ。スタート地点からずぅぅぅぅっと貴方を追いかけてたのに全然気づいてくれないんですもぉん。やぁっとオメメが合ったので嬉しくてつい興奮しちゃってぇ。てへっ♡ 」
「なにが 『 てへっ』 だ?
…ん?ちょっと待て、スタートからオレ様を追いかけてただと!?」
タイムリミットは2分をきっていた。
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