野望

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野望

「オレさぁ、一度でいいからあの『逃亡中』って番組に出てみてえんだよな。」 「へぇー。芸能人たちが黒いスーツのヤツらに追いかけられて必死こいて逃げるアレでしょ?ボクなら絶対やらないけどね。」 「オレはあのスリルがたまらねえんだよなっ!オレ様なら絶対最後まで逃げ切れる自信があるしなっ!!」 「へぇー。そんなに自信があるんだ。スゴイなぁ。根拠でもあるんですか?」 「まぁなっ!!」 オレは最近飲み屋で知り合った若い男と飲んでいた。お互い名前も知らなければ仕事も住んでいる所も知らない。ただ何となく気が合うので飲み屋で会えば一緒に飲む仲になっていた。 今夜は酒が美味くついつい飲みすぎてしまった。気分が良くなり‘’コイツにならオレ様の武勇伝を話してやってもいいか‘’という気持ちにさえなっていた。 「実はな…オレ様は…」 「あああっ!!!」 「なんだよっ!?いきなりっ!」 「今、その逃亡中の番組ホームページを見たんですけど『一般人出場者大募集』ってなってます!しかも抽選ルーレットで即、結果が出るみたいです!」 「まじかよっ!?そりゃ応募するっきゃねぇだろっ!」 オレはその場で即応募した。 抽選ルーレットの結果、なんと見事に大当たりを引いたのだった。
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