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バス停から家までは歩いて五分程度。
心なしか歩く足も弾んでいる様に思える。
家が見えた途端に、一気に現実に引き戻されて足が止まった。
今の時間は誰も家にはいない、母親はパートに出ていて大紀は大学。
今夜もセックスされるのかな… そう思うだけで吐きそうになった。
俺の異変に大紀は絶対に気付く筈。
気付かれない様にしないと… 思えば思うほど、顔と体が強張った。
コンコンとノックする音に、返事も聞かずに部屋の扉が開く。
「緒都… 僕の綺麗な緒都、今日は病院、どうだった?」
机に向かっている俺の後ろから抱き付き、髪の毛にキスをする。
「……… 」
「どうした?何? 参考書なんか開いて… 勉強してるの?」
机の上に開いているのは高校の参考書。
一年生で不登校になり、それから学校には行っていないけど勉強は嫌いじゃない。
倫太朗さんに出会ってから、色んな事への考えが変わった。
「え、っと… 『高卒認定試験』を受けたいんだ… 」
「高卒認定試験? なんで」
思った通り、大紀が不機嫌な声を出した。
「… 大学、に… 行きたいって思ってきて… 」
「高校も行けなかったのに? いいんだよ、緒都の事は僕が一生面倒見るから、何もしないで僕の傍にいればいい」
ベッドに座ると、「おいで」と手招きをする。
唇を噛んで、大紀とは反対の方に顔を向けるとすぐに怒った声を出した。
「早くっ!」
握り拳にできた出っ張りの関節部分を強く噛んで、大紀の要求に応えるべく、ゆっくりと立ち上がると、すぐに腕を掴まれベッドに倒された。
高卒認定試験を受けようと思う、と倫太朗さんに話した時、それはそれは嬉しそうな顔をして、眩しそうな目を俺に向けた。
『凄いなぁ、緒都は。前に進む姿、尊敬する』
って、目を細めて微笑んでくれた。
でも、
「駄目じゃないか言う事聞かないと… 酷い目に遭わせるよ」
大紀は、すでに硬く大きくなったペニスを、俺の腿の辺りに擦り付け腰を動かす。
舌が這入り口内を犯す。
「ん、んん… 緒都… 可愛い… ほら、僕の扱いて」
俺の手を自分のペニスに当てて扱く様にと、上下に誘導する。
ああ…… 嫌だ。
何も感じずに、淡々とセックスが出来ていた頃は最中だって何でもなかった。
こんな自分、と思って涙が滲む。
四つん這いの尻穴に挿入されて、一定のリズムがだんだんと速く強くなってくる。
正常位より、後背位の方がまだ良かった。
大紀の顔を見ずに済むから。
早く終わって欲しいと、ただ願う。
一段と激しくなった動きに、大紀がまもなくイクのだろう事が分かる。
「んんっ!はぁぁぁっ!う゛っん゛っ!」
脱力して、うつ伏せの俺の上に重なると、うっとりとした声で頬を撫でた。
「ああ、すごくいい、緒都の穴は最高だ… あれ?緒都、イってないんじゃない?」
気持ちと身体は違うもので、今までは俺も達していたけれど、今日はイケなかった。
倫太朗さんに好きだと告白された、大紀としている事が本当に嫌だった。
「じゃあ、自分でヤって見せて」
大紀の前で自慰をさせられる、それを見て興奮した大紀がまた這入ってくる… 。
本当に嫌で、今まで以上におかしくなってしまいそうだった。
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