第1話 クールな幼女

1/1
前へ
/16ページ
次へ

第1話 クールな幼女

 私は、長い黒髪を赤いリボンで、トップテイルにした。  白のワンピースを着た幼女だけど、実はかなりの悲しい出来事を経験して、目は鋭くなっていて、性格は冷めたかのようになっていた。  まさか、いじめっ子がストーカーと化かすことなんて、誰が想像しただろうか?   異世界に来る前は、母親の方針によって、ずっと坊主頭だった。  髪を伸ばしてもらえなかったけれど、異世界にきてから、やっと女の子らしい髪型になれた。  身長も伸びてきた。  異世界での私のネームは、セリオ。  ちなみに、イタリア語で「真面目」という意味らしいけど、今の私の現状を言い表しているとも言える。  本名は別にあるけど、名乗りたくはない。  私は、いじめっ子から離れ、第二の人生を歩むことを決めたから。    ここに来て、もう4年。  私は、今年で11歳になる。  人間世界で生活していれば、今頃は小学5年生くらいになっていると思う。  私の髪は、すでに肩下まで伸びていた。  小学1年生の頃にやってきたけれど、やっぱりいじめっ子グループはどこまでも追いかけてくる。   そのことに、何の意味があるのかはわからない。  私は、精神病棟で看護師をやっている異世界案内人によって、異世界転移をして、一人で逃げ道を探すしかなかった。  探して見つけた先は、魔法だけで経営している謎のギルド。  ここで訓練したからというもの、私は槍を肌身離さず持ち歩くようになった。  いつ、どこで、あのいじめっ子グループに襲われてもいいように。  私は、大人が来る場所に足を運んでいた。  私も、これでも逃げなくてはならない身だけど、それがいつまで続くのだろうか?  だけど、捕まったらどうなるのかわからない。  わからないから、恐怖に怯えながらも、あいつたちがいない世界を目指していくしかない。  今日来たのは、酒場だけど、私はお酒なんて飲めない。  理由なんて、簡単だ。  まだ、成人を迎えていないから。 「お嬢ちゃん、一人か?」  酒場のオーナーっていう人に、声をかけられた。 「ええ。 一人よ。 見ての通りね」 「これは、よくないよ。 迷子かい?」 「親がいないの。 ちなみに、お酒はいらないわ。 飲むなら、ジュースでいい」 「お嬢ちゃん、年いくつだい?」 「今年で11歳になるけれど、まだ10歳」 「うちも、同い年くらいの子供がいるんだけど、よく酒場に来て、お酒とか飲める年齢でもないから、ジュースとか飲んでいたね」  オーナーは楽しそうに話していたけれど、私はあんまり興味がなかった。 「そっか。 私は自由に過ごせるなら、何だっていい」  私は冷たく答えてしまった。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加