作家への道

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編集者は、俺の原稿を読み終わるとこう言った。 「『かぐや姫』だね。SFファンタジーは人気ジャンルだから、期待して読ませてもらったよ」 「はい」 「まず、かぐや姫がツンデレなのがいい。次から次ヘと貴族の求婚を断っていくのは、ある種の爽快感があるな」 「そうですか」 「ただ、デレ期がこないまま月に帰るのはちょっと」 「ツンデレの設定じゃないんですけど」 「あと、月から迎えに来た乗り物、宇宙船だよね?」 「宇宙船」 「宇宙船のスペックがわかる記述が欲しかったな。SFファンはそういうの、こだわるから」 「スペック」 「そう。月から地球まで来る動力源の解説とか、宇宙船の速さとか」 「はぁ」 結局、原稿は没になった。 俺は次の出版社に向かった。
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