道のしるべ

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目を覚ましたとき、暗闇の中に四角く区切られた夜空が見えた。僕はどこかであおむけになっているらしい。 身を起こそうとして体を動かすと、手首に激痛が走った。縛られている。僕は、大の字の形に両手両足を開かされて、手首足首を縛られているようだ。 そして全裸だ。背中に、砂利のデコボコが直接伝わってきて、痛くてたまらない。 「気が付いたのね」 鈴を振る声が聞こえた。 「何なんですか、これ」 「自分がやったことを思い出してみて。あなたは何をしたの?」 「何をって・・・高速道路を作りました」 「その道は誰が通るの?」 「そりゃ、車が通りますよ」 「それだけ?」 「え・・・野生動物用のバイパスも設置しました」 「それだけ?」 「それだけって・・・」 「あなたたちが作ったものが、何かを踏み潰したわよね」 何かって・・・
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