正義

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 「私はいなかった。そう伝えておいてくれないか」  「戻らないのか?」  向こうを見つめたまま、微動だにしない。  「もうしばらく、この景色を見ていたいんだ」  「そうか」  ピンギーはストヤノフの隣まで行って、同じ景色を眺めた。  「このあとはどうする」  「近いうちにこの街を出ていくつもりだよ」  「また別の街に?同じことをやるつもりか?」  彼は軍事産業を利用することによって、未発展の小さな街を発展させてきた。しかし、そのやり方は新たなる戦乱を招きはじめている。これ以上、彼にこの件に関わらせるわけにはいかない。  「どうだろうな。だとしたらどうするんだ?」  ピンギーは静かに腰の銃に手をかける。  「あんたを止めなければならない」  その声色には、不安のような感情が見え隠れしている。実際に止めなければいけない状況になるのは本心では避けたかった。  「私を止めたとしても、他の誰かが同じことをするだけだ。何も変わらないと思うがな」  余裕を見せるストヤノフ。  「だとしても、それはあんたを見逃す理由にはならない」  そう言いながらも、手には何も収まらないまま腰から離れた。
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