正義

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 「花の下に、遺体が埋まっていると言ったね」  不意に、ストヤノフは滔々と語りだした。  「爆弾が落とされたんだよ。小さくて貧しくて、だけど幸せに暮らしていた人たちの村に」  当時、周辺では小規模ながら戦いが巻き起こっていた。近くにあったここドズレニーにもその話は聞こえてきていたが、戦う(すべ)も理由もなかった住人は、まさか巻き込まれるとは、よもや夢にも思っていなかった。  「ここは、あんたの故郷なのか?」  「あぁ。落ちた時にはもう離れていたがな。親戚からの連絡で知ったんだ。両親も巻き込まれた、ということだった」  ストヤノフに沸々とした怒りがこみ上げてくる。  一部ではその戦いに参加していたパイロットのミスにより、誤って投下されてしまった爆弾であったといわれている。しかし、詳細に語られることは少なく、その多くが謎に包まれていた。  「故郷について、画面を通してしか知ることが出来なかった。現地に帰る許可が降りず、情報も詳しいことは入ってこない。今にして思えば、その理由もわかるがな」  後々にストヤノフがたどり着いたことは、当時のドズレニーに落とされる理由がなかった、という、そこに国はか関わっていたこと。   「爆弾がおとされてから数日後、メディアを通してされた国の説明は『政府に逆らったから攻撃された』ということだった」  村のある場所に新たな国のための施設を建てる為、住民は別の街に移るように言われたが、それに反発しただめだと、話し合いで決着が付かず、強硬手段に出た、ということだった。  その発表をしたのは祖国であった。ドズレニーは祖国に見捨てられのだ。
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