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「な、なんだって!?」
次の日の朝となり、テレビをつけると、昨夜、警察署が火事になりエマが死んだというニュースが流れていた。
「ちくしょう!」
俺が、拳をテーブルに叩きつけたその時、メールの到着を知らせる着信音が響いた。
「えっ!?」
その文面から俺は目が離せなかった。
なぜなら、五人目の受取人が俺になっていたからだ。
しかも配達時間は十分後だ。
「ここに居たら殺される!」
俺はバイクで実家に向けて走り出した。
すると、黒塗りの車が俺の後を追って来た。
こちらがスピードを上げれば、追跡者もスピードを上げる。
(俺は、殺されてしまうのか!?)
俺は、実家に行くのをやめ、山の方に向かうことにした。
狭い山道なら車は走れないからだ。
しかしスピードを出し過ぎていたせいか、カーブを曲がりきれず、バイクは横転して、俺は投げ出された。
足を痛めてしまったらしく、痛くて動けない。
俺は必死で逃げようとしたが、追って来た車から男が降り、俺の傍にやって来た。
男は、懐に右手を入れた。
(殺られる!)
俺は死を覚悟し、固く目を瞑った。
「おい。」
声をかけられ、恐る恐る目を開くと、俺の前には封筒が差し出されていた。
「お疲れさん、これは約束の金だ。
五人目は早々と勝手に自殺してしまったから、配達の必要は無くなった。
お前が五人目というのはジョークだ。」
サングラスの男は、おかしそうに笑いながら、その場から立ち去った。
(た…助かった…のか?)
そう思っても、まだなお恐怖から抜けきれない俺は、体の震えも溢れる涙も止まることはなかった。
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