【4P】危険なアルバイト

1/4
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
(……気にすることなんてないさ。) 俺は、心に渦巻く不安を無理やりに振り払った。 それは昨日のことだった。 柔らかな日差しのせいで、公園のベンチでうつらうつらしている時、俺は不意に声をかけられた。 「振り返るな。そのままで聞いてくれ。」 それは、ちょっとした仕事の話だった。 おそらく昼間に公園にいたことで、俺が今、無職だと推測したのだろう。 確かにそれは間違いではなかった。 俺は一週間程前にバイト先でつまらない諍いを起こし、仕事にあぶれていた。 金はないし、早く次の仕事を探さなければいけないとは思いつつ、どうにも気が乗らずうだうだしているところに奴は現れたんだ。 「どうだ?やるか?」 「は、はい、やります!」 それが、やばいバイトだということはなんとなくわかってはいたが、仕事の内容は簡単だし、バイト料も良い。 それに、俺は奴に身分証を見せてはいない。 教えたのは偽名とメアドだけだ。 大丈夫…絶対に大丈夫だ。 「では、前金だ。」 「あ、ありがとうございます。」 「それと、荷物…言うまでもないが、中は見るなよ。皆、同じものだから、どれを使っても問題ない。」 「は、はい。」 俺は前金と、荷物の入った大きなボストンバッグを受け取ってしまった。 もう後戻りは出来ない。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!