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次の朝、いつものようにメールが来た。
配達する住所と、名前が書いてある。
今回はそれだけではなかった。
そろそろ気が付いたかもしれないが、警察に知らせたら命は無い。
だが、五人に荷物を届け終えたら残りの金も払う、お前にも手出しはしないと書いてあった。
迷ったあげく、俺は四人目に配達することにした。
四人目はエマという女性だ。
ドアをノックすると、若い女性が怯えた様子で顔をのぞかせた。
「エマさんですか、荷物を届けに来ました。」
俺がそう言うと、たちまちエマの顔色が変わった。
「……ついに来たのね。」
そう言うとエマは顔を覆って泣き崩れた。
エマは何かを知っている。
そう感じた俺は、エマにその疑問をぶつけた。
「あ、あの…この荷物は一体…」
エマは黙ったままで、俺を室内に招き入れた。
リビングのソファに、俺とエマは向かい合わせに座った。
エマはひとしきり泣いた後、か細い声で話し始めた。
「実は、これは自殺サークルからの荷物なの。」
「じ、自殺!?」
「ええ、死にたい人が集まる自殺サークルです。」
思いがけない話に、俺は戸惑いを隠せなかった。
「毎月五人が選ばれて、荷物が来ると、一時間以内に自殺しないと殺し屋に惨殺されるんです。おそらく皆さん、自分では死ねなくて殺される方を選んだんだと思います。」
「えっ!?で、では、この荷物は?」
「カメラです。ネットに繋がっています。カメラを起動させて、そのカメラが映る範囲で死なないとすぐに殺し屋が来ます。」
エマの話に、体が震えて止まらない。
それと同時に、エマを救わなくてはという使命感のようなものが、俺の中に芽生えていた。
関わってしまったことへの罪悪感からだったのかもしれない。
「い、今から警察に行き保護を受けましょう!警察なら安心です」
「ええ。私はやっぱり死にたくないわ!殺されるのもいや!」
俺はエマを連れて警察に走った。
そして、すべてを話し、エマは警察に保護された。
俺は証人としていろいろ聴かれたが、五人目の荷物を配達するメールが来たら、警察に知らせるように言われ、五人目も警察が保護する事になった。
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