【4P】危険なアルバイト

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次の朝、いつものようにメールが来た。 配達する住所と、名前が書いてある。 今回はそれだけではなかった。 そろそろ気が付いたかもしれないが、警察に知らせたら命は無い。 だが、五人に荷物を届け終えたら残りの金も払う、お前にも手出しはしないと書いてあった。 迷ったあげく、俺は四人目に配達することにした。 四人目はエマという女性だ。 ドアをノックすると、若い女性が怯えた様子で顔をのぞかせた。 「エマさんですか、荷物を届けに来ました。」 俺がそう言うと、たちまちエマの顔色が変わった。 「……ついに来たのね。」 そう言うとエマは顔を覆って泣き崩れた。 エマは何かを知っている。 そう感じた俺は、エマにその疑問をぶつけた。 「あ、あの…この荷物は一体…」 エマは黙ったままで、俺を室内に招き入れた。 リビングのソファに、俺とエマは向かい合わせに座った。 エマはひとしきり泣いた後、か細い声で話し始めた。 「実は、これは自殺サークルからの荷物なの。」 「じ、自殺!?」 「ええ、死にたい人が集まる自殺サークルです。」 思いがけない話に、俺は戸惑いを隠せなかった。 「毎月五人が選ばれて、荷物が来ると、一時間以内に自殺しないと殺し屋に惨殺されるんです。おそらく皆さん、自分では死ねなくて殺される方を選んだんだと思います。」 「えっ!?で、では、この荷物は?」 「カメラです。ネットに繋がっています。カメラを起動させて、そのカメラが映る範囲で死なないとすぐに殺し屋が来ます。」 エマの話に、体が震えて止まらない。 それと同時に、エマを救わなくてはという使命感のようなものが、俺の中に芽生えていた。 関わってしまったことへの罪悪感からだったのかもしれない。 「い、今から警察に行き保護を受けましょう!警察なら安心です」 「ええ。私はやっぱり死にたくないわ!殺されるのもいや!」 俺はエマを連れて警察に走った。 そして、すべてを話し、エマは警察に保護された。 俺は証人としていろいろ聴かれたが、五人目の荷物を配達するメールが来たら、警察に知らせるように言われ、五人目も警察が保護する事になった。
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