月日は経つもの

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月日は経つもの

「有難うございました。またお越しくださいませ〜」  四月になり、アサコの時給が二十円上がった。無遅刻無欠勤が評価されたのだろうか。帰り際に店長から辞令を渡された。 「アサコさんも十七時あがりでしょ。一緒に帰ろう」  梶村がオレンジのポーチを足元から取り、帰り支度を始める。二人とも十七時からはアルバイトと交代だ。 「私、明日お休み取ったから。日中手薄だけどゴメンね」 「あーそっかぁ。カジさん休みでしたっけ。でも明日は納品はないし、何とかなりますよ。混んだら混んだで並ばせとけばいいし」 「おー。なかなか強気の発言ね」 「だって混んでるの気にしても慌てるだけでしょう。わざわざ自分にプレッシャーかけることないですよ」  梶村は『確かにねー』と笑いながら、バックヤードに向かった。  
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