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「じいちゃん……。ホントにじいちゃんなの?」
マネキンから、亡くなった祖父の声。
「そりゃそうさぁ。こうしてマサシと話が出来るなんてな」
「こ、こんにちは……。第一中学でマサシの友達してる、野村カナタです」
「望月シンヤですッ!」
「中学のーー? それは初めましてだな。マサシのじいちゃんやっとる山内シンジロウ言います。マサシと仲ようしてくれてありがとう」
「いえ」と真顔な表情を崩せない二人は、マネキンから目を逸らせず首をプルプルさせた。
何せテーブルの上のマネキンは、かつてスポーツ用品店に置かれていた、外国人寄せのスマートな顔つきだ。この顔からじいさんの声がすること自体、違和感に戸惑うのも無理はないだろう。
「やっぱ時代だなぁ」
「えっ、何が?」
「だぁってよぉ、俺ァ数年前に姿形もなくなって、灰になってんだぜ? なのにここでまたお前と話が出来るなんざ、俺たちの時代じゃあ、あり得ないっつーの」
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