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ふうぅぅーーっ。
「何だよ。三人でため息かよ」
「やぁ、何か緊張したぁ」
「ほんとほんと。マジやばい」
野村はそう言ってマネキンを取り、下から覗いたり頭を撫でたりして頭の重みを味わう。
「でも面白かったな、お前のじいちゃん」
「そう?」
「話し方とか昔話に出てきそうな感じでさ」
「あーわかるわかる。何かこう、あったかい感じがした。マサシも嬉しかったろ」
「うん、久々だしな。ってか、話せるってわかってたとはいえ、実際にやってみるまで半信半疑だった。亡くなった人とホントに会話するなんてさ。やっぱ時代なんだねー」
「わー。じいちゃんと同じこと言ってる〜」
「ジジくせぇ〜」
わっはっはっは……。
この時代ーー。世の中の進化がめざましく、AIとの共同開発で目新しいものをドンドンと創りあげた。そのひとつが今回のこの親類縁者と繋がる『リメンバー35』復活作戦。通称R35。
血縁関係にある者ならば『R35』に故人を呼び寄せることが出来、会話が出来る人気商品。Rとはリメンバーを意味し、35とは亡くなって35年以内の人と話せるということを表す。日常の風景のなかに、多色彩の光が差す。
人類の進歩はあの世にまでも、突き抜けた。
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