西暦2501年

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「カジさんやったことあります? R35」 「あたしは別にぃ、会って話すことないし」 「ご両親とかと話したいと思いません?」 「うちはさぁ、相続で揉めたウチだからね。遺言書で内縁の(ひと)にかなり持ってかれたから。そんなことした人と話すことなんかないよ」  亡くなったときは大泣きしても、その後の行く先で気持ちが大きく変わることもある。知らなかった現実を知らされたり、でも理由を聞くにも聞けないままーー。  そんなモヤモヤはいつまでも払拭出来ず、今更こんな機械が出来たとて梶村は使う気にはなれなかった。その寂しさは年々薄くなっていくも、消えることはない。 ーーこの機械がもっと早くあったなら。 何かが変わっていたかもしれないけれど。
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