喋るマネキン

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喋るマネキン

「今……何て言った?」    山内も野村も望月も、三人して硬直した。好きで借りたマネキンの首を、山内マサシの部屋に設置してスタートボタンをオンにしただけだ。 「マサシ、じいちゃんの声忘れたんか!」 「うわあぁぁーーッ!」 「ギャッ」 「ひいぃぃ……」  数年前。マサシが小学三年の頃、山内シンジロウは病であの世へ旅立った。八十八歳だった。  じいちゃんっ子だったマサシも今は中学二年生。春休みも目前の、春のお彼岸の休日に三人は集まった。
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