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幼い日々
僕が隼人と,出会ったのは近所の公園だった。
6歳の僕は泣き虫で足も遅かったから、仲間から一人遅れて泣きながらついて回っていた。
ある日、一人公園に置き去りにされて俯いて泣いていた僕の前に小さな足が見えた。
見上げるとそこには僕より少し体の大きな男の子が立っていた。
「どうして泣いてるの?おなかでも痛い?」
男の子は優しく僕に聞いてくれる。
「は・・・はぐれちゃったのぉ」
優しい声を聞いた僕はほっとしたので、涙が止まらなくなった。
「泣くなよ。だったら俺が遊んでやるから。俺は堤隼人、6歳。昨日この近くに引っ越してきたんだ」
男の子はハキハキと自己紹介すると手をさしのべてくれた。
「6歳?僕とおなじなのに体も大きいしお兄ちゃんみたいだね」
そういうと隼人は照れた様子で
「そうかな?だったら嬉しいな」
そう言って笑った。
その笑顔はお日様みたいでキラキラ輝いて見えた。
「お前名前は?」
「えっと・・・高梨晃」
僕が小声でボソボソ言うと隼人はニカっと笑って
「晃、よろしくな!」
そう言って僕の手を握って立たせてくれた。
(手、あったかい)
僕は急に心が暖かくなったことに少し疑問を持ったけど、はやく隼人と遊びたくてその気持ちは奥に押し込めた。
「いこう!晃」
隼人はそういうと僕の手を引いて走り出したので、僕も走り出した。
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