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着替えを済ませると僕と隼人はバス停に向かった。
その間ずっと手を繋いでいたが、いつも同じ時間になる女の子達や男の子達のヒソヒソと囁き声が聞こえる。
「あの2人ようやく進展したのかなあ、めっちゃお似合いだよね」
「すげーよな、美男同士でめっちゃ絵になる」
相変わらず周りからは優しい言葉しか飛んでこなかった。
大学に着くまで隼人は僕が転ばないように腰を抱いて僕を守ってくれる。
今までは肩に手回すくらいだったのに、ちょっと大胆な行動に僕は戸惑う。
(これは隼人の好意だから・・・)
そう考えて僕はおとなしく腰を抱かれてバスに揺られた。
大学に着くと綾音と舞花が門の所で待ち構えていた。
「2人に聞きたいことがあるんだけど!」
舞花が怖い顔をして僕に詰め寄る。
「2人が付き合ってるって本当!?」
すごい剣幕で僕に尋ねてくる舞花が怖くて目を逸らすと隼人がサッとぼくの前にたちはだかって答える。
「昨日から付き合ってる。きみには関係ない」
相変わらず隼人は僕以外には塩対応しかしない。
「やっぱりそうだったんだ・・・付き合ってなかったらチャンスがあったのに・・・もう似合いすぎてて私には太刀打ちできないよ」
そう言って舞花は項垂れた。
綾音はその話を聞きながらはらはら涙をこぼし、
「まだ隼人君のことあきらめられなかったけど、晃君が相手なら・・・むしろ、尊くて応援できる・・・絶対わかれないでね!一生そばにいてあげて」
綾音はそう言うとその場を去っていった。
1人残された舞花は突如スマホを取り出すと
「縁結びのお守りにするから2人のツーショットとらせて!それであきらめるから」
「それなら許可する」
隼人はそう言うと僕を抱きしめて頬にキスをした。
「やだ!ナイスショット!ナイスショット!!」
舞花は興奮気味にシャッターを何度もきった。
「これでいい?」
隼人はそう言うとポーッとしている舞花を置き去りにして僕の手を恋人繋ぎで繋ぐと大学内に向かってあるきはじめた。
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