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僕と隼人は家から近い大学に通っているが、隼人は独立したいと一人暮らしをしている。
それでもいつも早起きで毎朝僕を迎えに来てくれる。
「隼人いつもありがとう!」
僕がお礼を言うと隼人は目尻に皺がよる優しい笑顔で僕の顔を両手で挟んで頭頂部に顎を乗せてぎゅっと抱きしめた。
その力が強いから僕は隼人の背中を叩いて
「ギブギブ!くるしいよー」
そう言って隼人の腕から逃れようとしたがなかなかはなしてくれなかった。
「あー落ち着く。このままずっとこうしていたいなー」
隼人がどんな顔をしているかは僕からは見えなかったけど、きっと優しい顔をしているだろう。
時計を見ると乗り遅れると遅刻決定のバスの時間が迫っていた。
「隼人!時間!!」
僕がそう言うと隼人は僕の拘束を解いて手を繋いで走り始めた。足の速い隼人についていくのは大変だけど、繋いだ手が暖かくて僕は幸せな気持ちで息を切らせてバス停まで走った。
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