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学校に着くと僕は隼人と講義室に向かって歩いていた
「晃くーん!」
その時後ろから女の子の声が追いかけてくる。
カツカツとヒールを鳴らして僕に追いついた彼女は腕に抱きついて僕を見上げた。
「おはよう!今日もいいてんきだね!講義いっしょだから私も一緒に座ってもいい?」
講義室の座席は2名1組の作りになっていたので僕は申し訳なく思いながら、
「隼人と座るから一緒は無理なんだ、ごめんね」
そうすると彼女は残念そうにしながらも手に抱きついたままだった。
「じゃあ講義室に着くまでこうしてよーっと」
彼女はそう言うと、僕の腕を掴む力をさらに強めた。
(困ったな、なんで彼女は僕のこと構うんだろう。えっと名前・・・名前・・・)
僕は彼女の名前すら碌に覚えていないことに少しの罪悪感を覚えるが、思い切って尋ねた。
「ごめん!実は君の名前まだ覚えてなくて」
そう言うと彼女はちょっと悲しげな顔をして
「佐々木舞花だよ!もう、晃君はほんとに人に興味ないよね!でもそういうちょっとぽやっときたとこが可愛いくてよいんだけど」
そう言うと舞花は僕の頬をつつこうと手を伸ばしてきたがそれは隼人の手刀で防がれた。
「女の子にそんなことするのひどくない?隼人君!」
「馴れ馴れしすぎ。人との距離感もうちょい考えたほうがいいよ」
隼人は僕に対するのとは全く別の冷えた声で舞花を僕から引き剥がした。
「もう!いいもん!晃君、またの機会に今度は2人でお茶しよーね!」
そう言って舞花は嵐のように走り去って行った。
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