1幕 新チーム

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「やっべー!」  朝からドタバタ劇を繰り広げている俺。完全に遅刻するぞ。  食パンを加えて、慌てて家を飛び出した。  ん? まるで、どこかの昔の漫画みたいだって? いやいや、そんなことしてる場合じゃない!  確か今日は入学式。どんな1年が入ってくるんだろう。バスケ部には1年が入ってくるかな?  俺は走って学校へと向かった。  キーンコーンカーンコーン  やばっ、もうチャイム鳴ってるじゃん!!  チャイムと同時に教室へ、ダーイブ!! 「間に合った?」  俺が教室に入った瞬間、背後で先生の声がする。 「間に合ってないぞ」  30代くらいの若い男性の先生。高宮コーチと同じ歳くらいかな。いやいや、違う違う。 「すみません……」  俺はひっそりと席に着く。担任の先生は転勤もあって、2年の時の担任の先生とは違う。  担任の先生は呆れた顔で教壇に立った。  ホームルームの始まりだ。先生の長い話を聞く。  ホームルームが終わると、先生たちは入学式のために、さっさと教室を出ていく。  俺らは入学式には参加しないから、そのまま部活だ。 「やっと、部活!」  と、言いたいところだが、今日は体育館でこれから入学式だから、使えない。  あれ? 今日はバスケどうなるんだ? と、考えていると慧が伝えに来た。 「今日の部活はスポーツセンターの体育館使うって」  高宮コーチが整えてくれてたみたいだ。なんてありがたい。 「全員が集まったら、スポーツセンター行くぞ」  慧が言うと、俺と美香が同時に返事する。 「わかった」 「わかった」 「気が合うな」  慧は、俺と美香の反応に苦笑いしていた。  そんなやりとりをしていると、バスケ部のメンバーが揃った。 「よし、体育館へ行こう」  俺は真っ先に学校を飛び出す。 「あいつ、本当にバスケしか考えてないんだな……」  貴が呆れているみたいだが、そんなこと構わず、先にスポーツセンターへと歩いた。  体育館につくなり、すぐに準備をして、メンタルトレーニングをしてから、ウォーミングアップを始める。  ウォーミングアップでは、フットワーク、パス練習、シュート練習など、基礎練習を行う。  まずは、フットワークから。いつものようにフットワークをやっていると、高宮コーチがストップさせた。 「ルーティン化しているから、気をつけてな。あまりルーティン化すると何も考えなくなってしまう。いつも、どんな感覚なのか、感じながらやるんだぞ」  そうだ。最近、感覚をきちんと感じていない。慣れてくると、感じながら練習することもなくなるから、気を付けないと。  俺はステップを踏むように、リズムを作って足を動かす。 「あれ? 樹、腿に力みがないか?」  灯が指摘してくれた。  マジか。感覚を確かめながら、フットワークをする。 「あっ、本当だ」  腿の動きが硬い気がする。脱力だ。脱力。だけど、なかなか脱力ができない。  あれ? 力が入りっぱなしだ。
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