1幕 新チーム

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1幕 新チーム

 なんとか3年に上がれたー! 俺は村野樹(むらのたつる)城伯高校(じょうはくこうこう)バスケ部。  勉強が嫌いで、授業中、寝てばかりいたから、さっぱりわからない。だけど、バスケ部の顧問、高宮コーチにちゃんと勉強しないと、バスケできないぞと言われて、必死だった。  バスケ部のマネージャー、関戸美香(せきどみか)に勉強を教えてもらい、ギリギリだけど、赤点は免れたんだ。  ごめんな、勉強は頭に入ってこないんだよ。でも、こんな俺に付き合ってくれた美香に感謝だ。  3年はクラス替えがない。  だから、あまり変わったという感じはしないな。  バスケ部でも一緒の斉木慧(さいきけい)も同じクラスだ。  慧はイップスになってしまい、まだ、完全ではないが少しずつ克服していこうと努力しているんだ。  ちなみに慧はバスケ部のキャプテンだ。ついでに俺は副キャプテンを任されている。 「まぁ、良かったよ。無事に3年になれて」  美香は俺の背中を強くバシッと叩く。 「いってぇ……美香、力あり過ぎ……」 「そんなに力入れてないでしょ」  美香は俺を睨みつけている。(こわ)ッ。あまり余計なこと言わないでおこう。女の子は……いや、美香という奴は恐ろしい。あっ、これは美香には内緒。また、どつかれる。  今日の予定は始業式のみ。始業式が終われば楽しみの部活だぁ! 「……バスケ馬鹿」  はしゃいでいる俺を見て、美香は呆れかえっている。  そんな話をしているうちに、始業式の時間。全校生徒が体育館に集まる。といっても、2年と3年のみだ。1年生は翌日の入学式で初めましてとなる。  今年はバスケ部にも入部してほしいな。バスケのことしか頭にない俺は、始業式の間、全く先生の話を聞いていなかった。話が長い。  先生の話をまともに聞いている人なんていないと思うけど。慧でさえ、先生の話を聞いていない。欠伸をして暇そうだ。  1時間くらい経ったか、ようやく始業式が終わって、教室に戻る。あとは面倒だけどホームルームだな。 「おぉ、ちゃんと3年になれたんだな」  クラスは違うが、バスケ部の仲間、栗本達也(くりもとたつや)が茶化してきた。 「おまえ、いつも赤点だもんな~」 田畑貴(たばたたかし)が笑って、パンパンと俺の肩を叩く。  貴もバスケ部の仲間。そういえば、達也と貴は同じクラスだったな。 「失礼な、俺だってやるときにはやるんだよ」  俺、なんかいじられてる? 「じゃあ、また、後でな」  達也が手を振って、教室に戻っていく。 「あぁ」  俺も教室に戻る。  ホームルームは、そんなに長くないが、これはこれで、意味があるのかと思ってしまう。まぁ、連絡事項もあるから大事なのかもしれないけど。 「では、今日は終わり。気をつけて帰って下さい」  担任の先生が言った途端、俺は真っ先に飛び出した。
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