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第1話
俺は急な展開に考えが付いて行かず、身動きさえ出来なかった。
「ねえ、私の心を弄ぶつもりじゃ無いでしょう?そこは、腕を回してギュッってしてくれる所じゃない?そうじゃないと、私がバカに見えるでしょ。」
仕方無く……俺はその少女に腕を廻してハグをした。頭の中は真っ白だ。
「ねえ、今夜もウチのアパートに来て私をギュッとしてね。約束よ♡」
そう言って少女は去って行った。
俺は、しばらく記憶を辿ってみた。あんな彼女居たっけか?
しかし、どの記憶の引き出しを隅から隅まで探してみても答えにはヒットしなかった。
やはり、あの少女の思い違いだな。きっと人違いだったんだろう……。俺は そう結論付けた。
昼間のアルバイトを終えて帰路に付く頃、あの少女が前から歩いて来た。
〔人違いなら、今回はスルーされるかもな。〕
「ジュン君、良い所で会ったわ!買い物付き合いなさい。」
そう言われて、腕を取られて連行された。
〔えっ?やっぱり人違いじゃ無いって事か?〕
「貴方って、いつも素っ気なさ過ぎ!ほら、こうやって私の腰に手を廻すの!こうよ!こう!」
強制的にエスコートさせられた俺であった……。
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