イヤーワーム

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 目が覚めてから暫くしても、私はなんだか気持ち悪い心持ちでいた。  乗っていた男性や運転手に見覚えがあるわけではない。そもそも、家路を辿るあの道にすら覚えはなかった。現実との区別はしっかりついている。  ただ、あの歌が頭から離れなかったのだ。ふとした時に、頭の中をぐるぐる回る。  別の曲を聴いたり、歌ってみても駄目だった。仕事中も例の歌が頭に流れて、いらつく始末だ。  そんな日が何日も続いた。もう一度男性に会って、文句の一つでも言いたいところだったが、彼が二度と私の夢に出てくることはなかった。  その歌は、私が知っている歌ではなかった。運転手が言ったように、流行っている曲でもない。口ずさんでみたり、歌詞を打ち込んだりして検索をかけても、その歌には辿り着けない。  もしかしたら私は、この世界に存在しない歌に出会ったのだろうか。  その時、私は、神様のお告げを受けたような、そんな感覚に陥った。
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