イヤーワーム

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 夢の話だ。  終電を逃してしまい、丁度停まっていたタクシーに近づいた。ドアが開き、行先を告げようとしたが、中には既に、一人の男性が座っていた。 「すみません」と言い、二三歩下がると、男性は微笑んで言った。 「構いませんよ、相乗りでも」  私は男性の厚意にすぐ応じて、タクシーに乗り込んだ。  どうやら、私の方が先に降りるようだった。  私が流れる景色を眺めていると、男性は私に話しかけてきた。  どんな会話をしたのかは覚えていない。相乗りを承諾して頂いた手前、つっけんどんな対応をすることもできず、彼の話に適当に笑っていたような気がする。  どういう話の流れだったか、彼が不思議な歌を口ずさみ始めた。  運転手も「流行ってますよね、それ」と微笑む。  タクシーは、暫く道なりに進んでいた。交差点ばかりの住宅街を出て、初めて信号にぶつかる。その赤信号で、タクシーは止まった。  私が覚えているのは、そこまでだ。
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