3人が本棚に入れています
本棚に追加
夢の話だ。
終電を逃してしまい、丁度停まっていたタクシーに近づいた。ドアが開き、行先を告げようとしたが、中には既に、一人の男性が座っていた。
「すみません」と言い、二三歩下がると、男性は微笑んで言った。
「構いませんよ、相乗りでも」
私は男性の厚意にすぐ応じて、タクシーに乗り込んだ。
どうやら、私の方が先に降りるようだった。
私が流れる景色を眺めていると、男性は私に話しかけてきた。
どんな会話をしたのかは覚えていない。相乗りを承諾して頂いた手前、つっけんどんな対応をすることもできず、彼の話に適当に笑っていたような気がする。
どういう話の流れだったか、彼が不思議な歌を口ずさみ始めた。
運転手も「流行ってますよね、それ」と微笑む。
タクシーは、暫く道なりに進んでいた。交差点ばかりの住宅街を出て、初めて信号にぶつかる。その赤信号で、タクシーは止まった。
私が覚えているのは、そこまでだ。
最初のコメントを投稿しよう!