ミステイク

1/4
前へ
/4ページ
次へ
「ああ、万里(まり)。おかえり。ねえ──」  重い足取りで帰宅すると、迎える母の言葉を曖昧に頷くだけで受け流して自室へ向かう。  入ってドアを閉めるなり、身につけたものを乱暴に脱いでベッドに無造作に放り投げた。  出掛けるために着替えて椅子の背に掛けたままの部屋着のワンピースを頭から被り、その椅子にどさりと腰を下ろす。  ──あたしは間違えたんだ。今更どうしようもない。でもまさか、こんな……。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加