まだまだ

1/1
前へ
/89ページ
次へ

まだまだ

「平~、進んでるか? 準備」  と堀江が言った。 「まだ、まだ、全然ですよ~   堀江さんも、手伝って下さいよ~」    PCとにらめっこ状態の舞華。 「そうだな~、じゃあ俺とデートしてくれたら  手伝ってもいいぞ」 それを聞いた舞華、冷ややかな眼で、 「じゃあ、いいです。一人で大丈夫ですから」  と口を尖らせた。 「冗談だよ。冗談、手伝うよ、手伝う、  どれだよ」 堀江の顔を見た舞華は呆れ顔で、 「まったく。堀江さん面倒くさいですね」  と言った。 「リク……コレデハマダ ダメダ 」 下を向く凌空。 「ヤリナオセ、ジカンガタリナイナ  コレ ヨテイ スケジュール カクニンヲ」    渡された、スケジュール表。 「カナダ ノースウエスト、   ノルウェー トロムン、  デンマーク領のグリーンランド、  最後は、アラスカ フェンバンクスか」  と呟く凌空。 凌空が日本を離れて、 二年が過ぎようとしていた。 「俺、頑張らないとな」 と空を見上げた凌空だった。 季節は秋、 凌空は、夕陽が染める白樺の並木道を 歩いて行く。
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!

120人が本棚に入れています
本棚に追加