120人が本棚に入れています
本棚に追加
まだまだ
「平~、進んでるか? 準備」
と堀江が言った。
「まだ、まだ、全然ですよ~
堀江さんも、手伝って下さいよ~」
PCとにらめっこ状態の舞華。
「そうだな~、じゃあ俺とデートしてくれたら
手伝ってもいいぞ」
それを聞いた舞華、冷ややかな眼で、
「じゃあ、いいです。一人で大丈夫ですから」
と口を尖らせた。
「冗談だよ。冗談、手伝うよ、手伝う、
どれだよ」
堀江の顔を見た舞華は呆れ顔で、
「まったく。堀江さん面倒くさいですね」
と言った。
「リク……コレデハマダ ダメダ 」
下を向く凌空。
「ヤリナオセ、ジカンガタリナイナ
コレ ヨテイ スケジュール カクニンヲ」
渡された、スケジュール表。
「カナダ ノースウエスト、
ノルウェー トロムン、
デンマーク領のグリーンランド、
最後は、アラスカ フェンバンクスか」
と呟く凌空。
凌空が日本を離れて、
二年が過ぎようとしていた。
「俺、頑張らないとな」
と空を見上げた凌空だった。
季節は秋、
凌空は、夕陽が染める白樺の並木道を
歩いて行く。
最初のコメントを投稿しよう!