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俺も参戦しようかな
ベッドに起き上がっている堀江に向かって
「堀江さん、傷の具合どうですか?」
と尋ねた。
「大丈夫だよ、心配かけちゃったね」
「いえ、そんなこと……」
「そっちは、どうなの? 大丈夫だった?」
「はい、警察には色々と聞かれましたけど
大丈夫です。こちらこそ、ご迷惑おかけして
申し訳ありません」
「そんなことないさ……」
「堀江さん、舞華を守ってもらって
ありがとうございました」
と凌空が堀江に頭を下げた。
「なに、凌空君、頭上げてよ。
当然のことをしたまでだよ」
「でも……」と呟く凌空。
「まぁ、俺も彼女を守れたから、
それでいいよ。
見てたんだろ? 俺が彼女を
抱きしめてるところ」
と堀江が言った。
「えっと、それは……」と返事に困る凌空。
「この話の続き、
俺の傷が治ってからしような」
「それは、どういう意味なんですか?」
と凌空が聞いた。
「それは、俺も参戦するってことだよ」
「参戦って?」
「俺も、彼女が好きだってこと」
と堀江が凌空の顔を見て微笑んだ。
堀江の突然の告白に驚く凌空、
そこへ、舞華が飲み物を買って帰って来た。
「堀江さん、はいどうぞ」
と舞華が飲み物を渡した。
「はい、凌空もどうぞ」
と舞華から渡された缶コーヒーを
握りしめる凌空。
「平、凌空君も、もう遅いから
帰ったほうがいいよ」
と堀江が二人に言った。
「そうですね、もうこんな時間だ。
堀江さんもゆっくり休んでくださいね。
それから、何か必要なものがあったら
言ってください」 と舞華が言った。
「ああ、ありがとう 凌空君もまた」
と堀江が凌空に声を掛けた。
「じゃあ、お大事に……」
凌空も堀江に声をかけると、
舞華と病室を後にした。
無言で歩く凌空と舞華。
夜空に浮かぶ月は、
二人の姿を照らしていた。
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