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きめちゃいな
年が明け、舞華と堀江のフロリダ行が迫る頃、
凌空が言った。
「舞華……あのさ、その……」
「どうしたの凌空?」
と無邪気な顔で凌空を見つめる舞華。
「いや、何でもないよ」と目を逸らす凌空
その夜、舞華の親友夏美が言った。
「あんた達ふたり、いつまで
『純愛ごっこ』を貫いてるのよ」
「『純愛ごっこ』って、
そんなこと私に言われても」
「フロリダ行くんでしょ? 先輩と
一緒に二年間も」
「夏美……
そんな言い方しなくてもいいじゃない」
「だって、相手は大人の男なんだし、
それに、告白もされてるんでしょうが。
いくら、イケメンの年下彼氏がいてもね、
離れてしまうとついグラグラとなるもの
じゃないのかね?」
「そんなことないよ」
「わかんないよ~だって、今までは取り合えず
『高校生とか未成年』ってことで
よかったかもしれないけど、
いくら、年下イケメン彼氏でも、
もう大人な年齢でしょ?
いつまでも……
ねえ、そういうわけにはいかないでしょ」
「でもいきなり、その私からとかは無理だ」
「何で?ここは、ひとつ『大人の女』を
見せつけるのよ。
そして、彼を悩殺しておしまいなさい」
と夏美が言った。
「でも、凌空はそんな感じじゃないから、
それに、私、そこまで『大人の女』
じゃないというか」
「あっ、そういうふうにぐずぐずしてると、
本当に凌空君、誰かに食われちゃうよ。
それに、凌空君も、心中穏やかじゃないと
思うんだけどな。
案外、堀江さんから宣戦布告
されてたりしてね」
「そうかな」
「とにかく、フロリダに行くまでの間に
そこんとこ ちゃんときめちゃいなよ!」
「でも、どうすれば?」
舞華の言葉を聞いた夏美……
「まかせなさい」と不気味な笑いを見せた。
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