フロリダの夜

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BQも終わり、凌空と舞華は彼女の アパートメントに帰って来た。 「楽しかったね、凌空」 「ああ、楽しかった。  ワーズ教授や観測所の皆さんも  いい方達ばかりだった。  俺、なんか安心した。  堀江さん以外には」 「堀江さんが何?」 「い いや、何でもないよ」 バルコニーに出る舞華と凌空。 缶ビールを飲みながら話をする。 「舞華……」と凌空が話を切り出した。 「何?」 「俺、見つけたんだ。夢、やりたいこと」 「そうなんだ。よかったね」 「だから、そのことを報告したくて」 「え~何? 凌空が見つけた夢って」 「えっと……じゃあ、耳かして」  と言うと、凌空は舞華の耳元で囁いた。 「え、そうなんだ」  と舞華が凌空の顔を見た。 「うん。これが俺の夢、そしてやりたいこと」  と凌空が微笑んだ。 そして、凌空が真顔になり舞華に言った。 「だから、俺、留学することになった」 「留学? どこに?」 「フィンランド」 「フィンランド。北欧か」と舞華が呟いた。 「フロリダで舞華に会った後に、  フィンランドの留学先に  挨拶と打ち合わせに行くことになってる」 「そうなんだ。留学ってどのくらい行くの?」 「二年間。その期間も  色々とやっていくことがあるからその……」 と凌空が言葉を濁した。 「会えなくなるってことでしょ?」  と舞華が言った。 「うん。留学の条件として、  『すべての時間を夢のために』って  言われて、だから俺」と凌空が呟く。 舞華は凌空を見つめると、 彼の頬に手を当て、優しく髪をかきあげた。 「わかったよ凌空。私は大丈夫。   二年間頑張って。私、待ってるから」  と舞華は凌空を見て微笑んだ。 その夜、 互いの気持ちが溢れ出した二人は、 激しく求め合った。 部屋の中は月明りで凌空の寝顔が見える。 舞華は凌空の腕枕から起き上がると、 白い素肌にシャツを羽織り、冷蔵庫から ミネラルウォーターを取り出すと一口飲んだ。 舞華は凌空の寝顔を見ながら、 「凌空は、ずっとこんな気持ちでいたんだ。  こんな気持ちで、何年も私のこと  待っててくれたんだ。  何も言わずに……  私、馬鹿だ。あの時の彼の気持ちに  今頃になって気づくなんて」  と呟き涙ぐんだ。
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