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「凌空……」
目の前に突然現れた凌空に驚く舞華。
「どうして、ここに?」
舞華にゆっくりと歩み寄る凌空。
「仕事でね」と答えた。
「でも、どうして、私がここにいること
知ってるの?」
凌空は、頭をかきながら、
「え~っと、それは……
堀江さんが教えてくれたんだ」
「堀江さんが?」と舞華が言った。
「数日前、俺の職場に偶然に
堀江さんから連絡が入ったんだ」
と言うと凌空は堀江とのやり取りを
話し出した。
「Hello Andou, speaking 」
「凌空君? 堀江です、久しぶり」
「堀江さん? お久しぶりです。
どうしたんですか?」
「いやね、雑誌見てたら、凌空君の記事が
掲載されてあったから。
今度、アラスカに行くんだよね?」
「ええ、まぁ……」
「実は今度、『すい星の太陽面通過』
を観るために我々もアラスカに行くんだ。
その平も……
だから、一応、知らせておこうと思って」
「そうですか。ありがとうございます。
でも、何で俺にそんなこと教えて
くれるんですか?」
「だってさ、この二年間、
俺、平に沢山アプローチしたんだ。
正直、落とせるって少しは自信
あったんだよね。
でも、彼女、少しも俺になびいて
くれなかった。
なびくどころか、
凌空君、君への想いが強すぎるっていうかね
だから、あ~もう無理だって思って。
だから、研修が終了するのがいい機会だと
思って、彼女のことあきらめることに
した。
だから、俺 今、彼女の周りに群がる
変な虫(男たち)を追い払う的な
役割なんだ」
「堀江さん……」
「じゃあ、またな」
と言うと堀江は電話を切った。
凌空の話を聞いた舞華、
「堀江さんがそんなことを……」
「ああ」と言うと凌空は舞華を抱きしめた。
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