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とにかく、自分のせいで挫折に悪いイメージが付くのは避けなければならない。何とかしなければと焦っている時、見るに見かねた上司が「これなら君でも大丈夫だろう」と1人の人間に関する書類を持ってきた、
写真に写っていたのはまだ小学校高学年ぐらいの男の子。これまで担当してきた人間の中でダントツで若い。
「こんな子供に挫折を与えるのですか?」
「どうやらこの子は挫折のプロになる素質があるようだ。今後の人生において数多くの挫折を経験するだろう。たとえ不器用な君でも、そのタイミングを見逃す事はないだろう」
かわいそうに、一度の挫折でも立ち直れない人間がいるというのに、この子は何度も打ちひしがれないといけないなんて。優しく寄り添いたいところだが、挫折に寄り添われて果たして喜んでくれるのか。私にできるのは、最適なタイミングで挫折を与える事だけだ。
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