7人が本棚に入れています
本棚に追加
*
「岩崎様…岩崎様…」
ゆっくりと目を開ける。
その目には熱いものが流れていた。
これほどまでに穏やかな気持ちになったことはない。
きっと、今感じてるのが『幸せ』というものなんだと思えた。
今、体験したこと…それは、確かに現実ではない。
なのに、俺の意識はそれを現実と同様に感じさせ、これほどまでに俺を幸せな気持ちにしてくれた。
「御気分はいかがですか?」
「ありがとう…最高だ。」
もう思い残すことはない…
だが、この世からおさらばしようという気持ちは今はもうない。
これからは真面目に働いて、とにかく一生懸命生きていこう。
希望はないかもしれないが、俺にはついさっき体験したあの偽の記憶がある。
これ以上ない程に幸せなあの記憶が…
(俺はやり直せたんだ…)
そのことが意外な程、大きな俺の支えになった。
人生観さえも変えてしまう程に…
最初のコメントを投稿しよう!