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それから数日が経ったある時、スマホの着信音が鳴った。
それは見知らぬ番号からだった。
「もしもし…」
「あの…三沢と申しますが、岩崎翔一郎さんの携帯ですか?」
「え?」
三沢という苗字に思い当たる人物はひとりしかいなかった。
「……まさか…ケイジ…?」
「翔!」
まさに、電話の相手はあのケイジだったのだ。
「すまん!俺のところに連絡が来たのが、昨日のことで…運悪く、昨日は忙しくてな。」
「良いんだ、そんなこと…
それより、ありがとう。俺の事、覚えててくれて。」
「なんだよ、俺はまだそこまでボケちゃいないぜ。
忘れるわけなんかないだろ?」
「それに……俺は昔、おまえに対してひどいことをした……」
「そんなことならもう忘れたよ。」
ケイジはそう言って笑った。
誰かから電話が入ったとのことで、近いうちにまた連絡すると言って、ケイジからの電話は唐突に途絶えた。
(慌ただしい奴だな。)
でも、あいつが俺のことを覚えててくれたことが…
そして、わざわざ連絡をしてきてくれたことが、俺は嬉しくてたまらなかった。
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