タイムトリップはいかがですか?

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不思議なことだが、あの偽の過去を体験してから、俺の人生は良い方向に転がり始めたような気がする。 「えーっ、いくらなんでも、それは無理だろ!」 「無理なもんか!気合いさえあれば出来るって!」 ケイジはそれからも時々電話をくれた。 忙しいようで、いつもほんの数分の短い会話しか出来なかったが… ケイジは、今でもたまに、ヴォルケイノのメンバーだったシンや葵とも連絡を取ってるらしい。 俺がいなくなった後も、バンドは存続していたそうだ。 だが、ヴォーカリストがどうもしっくりいかず、何人かが代わり、そのうち、ケイジも家業を継がなければならなくなって、バンドは自然消滅したらしい。 だが、ケイジは今でもギターが好きでやめられず、趣味で弾いてるってことだった。 ケイジは、俺と連絡が取れたから、復活ライブをしようなんてとんでもないことを言い出した。 歌なんて、もう何年も歌ってない。 あの頃の金属みたいなハイトーンヴォイスが、今の俺に出せるだろうか? いや、それ以前に、今のこの落ちぶれた俺の姿を見たら、昔のファンも興ざめするんじゃないだろうか? そうは思いながらも、その誘いはとても魅力的なものだった。 また、煌びやかなライトを浴び、ステージで歌えるとしたら… 考えただけでも興奮してくる。
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